糖尿病の倫理56 食物繊維の摂取

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、糖尿病と特に関連の深い栄養素の「食物繊維」を取り上げています。
2型糖尿病患者を対象に、良好な血糖コントロールを目的とした積極的な食物繊維摂取の有用性が示されています。

2型糖尿病患者を対象としたメタ・アナリシスによると、3週間〜12週間の食物繊維の高摂取によって、HbA1c値や空腹時血糖値の有意な低下が報告されています。

また、日本人の2型糖尿病患者の研究を含む、水溶性食物繊維摂取の有用性を検討したメタ・アナリシスでも、食物繊維の高摂取軍ではHbA1c値と、空腹時血糖値、食後2時間血糖値が有意に低下して、インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRも改善したと報告されています。

用量反応解析を行った研究では、水溶性食物繊維の摂取量として推奨される範囲は7.6〜8.3gでした。

水溶性食物繊維を含む食物繊維摂取は、2型糖尿病の血糖コントロールを改善させる可能性があり、日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」でも、糖尿病患者の積極的な食物繊維摂取は有用であるとされています。

摂取すべき食物繊維の量に関しては、30g/日以上の食物繊維の摂取によって血糖コントロールの改善がもたらされたと報告されていることから、本来は、この程度の量の食物繊維摂取が求められています。

しかし、多くの試験が欧米人を対象としたものであることや、令和元年国民健康・栄養調査における、1日当たりの食物繊維摂取量の平均値が17〜19g(水溶性:3〜4g、不溶性:11〜12g)であるという現状を踏まえると、少なくとも20〜30g/日の食物繊維摂取が現実的な目標と考えられます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕