糖尿病の倫理57 アルコールの摂取

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、糖尿病と特に関連の深い「アルコール」を取り上げています。

アルコールは、そのエネルギーのみならず中間代謝産物が他の栄養素の代謝に影響を及ぼすことから、糖尿病管理における摂取量の適正化は重要な課題です。

海外の複数のメタ・アナリシスより、概ね10〜25g程度の中等量のアルコール摂取は、糖尿病の発症率、細小血管合併症や心血管イベントの発症率、死亡率を低下させますが、50〜60gを超えるアルコール摂取は糖尿病の発症リスクを増加させると報告されています。

このように、主に国外の報告では、アルコール摂取量と糖尿病および関連病態のリスクに関して、J字型の関係があるとされています。

しかし、その有効性は女性やBMIの高い者に限定されるという報告や、アジア人には認められないという報告があります。

さらに、日本人を含むアジア人、特にBMIの低い男性では、中程度からでもアルコール摂取が糖尿病の発症リスクになると報告されており、欧米人を対象とした結果をそのまま日本人に当てはめることには留意が必要です。

このような背景から、日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2022〜2023」では、アルコール摂取の上限として25g/日を設けています。

また、アルコールの急性効果として低血糖を来すことにも留意すべきです。

適正な飲酒量の決定には、アルコール量のみならず、アルコール飲料に含有された他の栄養素からのエネルギーや患者の飲酒習慣も考慮した個別化が求められます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕