腎機能の基礎知識3 腎臓病の種類

腎臓病の種類は多く、症状別に腎炎、ネフローゼ症候群、腎不全の三つに大きく分けられます。

1)腎炎
腎炎は、一般には腎臓の糸球体の病変による糸球体腎炎を指しています。

急性腎炎は子供に多い病気で、血尿が出たり、むくみが現れたりします。その原因は、細菌に感染したときに体内にできる免疫複合体が、糸球体に沈着して炎症を起こすためだと考えられています。1~2か月で症状は消え、比較的治りやすい病気ですが、慢性化することもあります。

成人の腎臓病で最も多いのが慢性腎炎です。慢性腎炎は、急性腎炎から移行するものと、原因不明で蛋白尿や血尿などが持続するものがあるのですが、大部分は後者となっています。

自覚症状がないことが多く、検査を受けて、蛋白尿や血尿によって大半が発見されます。

慢性腎炎の約半数は軽い蛋白尿が見られるだけで腎機能の低下がない潜在型ですが、約半数は進行型で、徐々に腎機能が低下していき、10~40年後には腎不全となります。多くの場合は、高血圧を伴っています。

2)ネフローゼ症候群
ネフローゼ症候群は、多量の蛋白尿と低蛋白血症があり、浮腫などの症状が見られる疾患となっています。原因となる病気はさまざまで、慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症などがあります。多量の蛋白質が尿中に出るため、血清中の蛋白質が減少して低蛋白血症となり、これに伴うむくみが強く現れます。

3)腎不全
腎不全は、腎機能が2分の1以下に低下して、体液を正常に維持できなくなった状態を指します。

腎臓は不要物を排泄したり、電解質の濃度を調整する働きをしているため、腎臓の機能が低下すると窒素化合物(尿素など)やカリウム、リンなどが血液中に増加します。そして、糸球体濾過値が正常の10%以下まで低下すると、意識障害や心不全などの症状が現れます。

この段階になると尿毒症となります。以前は尿毒症で亡くなることもあったのですが、今では透析療法によって生命の保持も社会復帰も可能になりました。

急性腎不全は急激に腎機能が悪化するもので、早期に適切な治療をすれば治癒することができます。

慢性腎不全は、長い年月をかけて徐々に腎機能が低下していきます。変化は徐々に悪化していく不可逆的なもので、腎機能が改善することはありません。慢性腎不全は、慢性腎炎やネフローゼ症候群などの腎臓の病気が進行して起こる場合と、糖尿病性腎症、腎硬化症などの病気による場合があります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕