「快食快便は健康の基本」と言われています。便通がスムーズではなくて、出口が詰まっているような状態では、入口側のほう、つまり胃での消化にも、小腸での吸収にも影響が出て、どうしても食も進みにくくなりがちです。
そればかりか、便秘になると体の中で有害物質が発生しやすくなり、身体を守るための免疫力も低下しかねないとう困った状況にもなりがちです。
日本人の便通は平均すると週に7回だといいます。中には便秘の人もいれば、逆に1日に数回もある人もいますが、ほぼ毎日便通があるのが平均的な状態ということになります。
それに対してアメリカ人(白人)は平均5回で、1週間に2~3日は便通がなくても当たり前という状態になっています。
この違いは、食生活が大きく影響しています。便通をよくするのは善玉菌の栄養源になる糖質と食物繊維で、逆に便通を悪くするのは悪玉菌の栄養源である動物性たんぱく質と脂肪です。これだけを見ても、日本人の食事スタイルは便通をよくし、欧米人の食事スタイルは便通を悪くすることが理解できます。
しかし、実際には日本人の1人あたり1年間の野菜の摂取量は、1997年にアメリカと逆転されてから、一度もアメリカを上回ることはありません。
日本人と欧米人の便通の回数の違いは、大腸がんの発生数の差となって現れてきます。かつての日本人は胃がんが多く、大腸がんは比較的少ない国民でした。それが食事の変化につれて、だんだんと大腸がんが増えてきています。それでも胃がんよりも大腸がんよりのほうが少ないのですが、アメリカ人の場合は大腸がんの割合が高くなっています。
食事で摂る野菜などに含まれる食物繊維などが多いと腸壁が刺激されて蠕動運動が進み、便通がよくなるため、大腸内での農薬や食品添加物、薬剤などの滞留時間が短くなり、有害物質による大腸壁への刺激を軽減できることから、大腸がんの危険も減っていくというわけです。
大腸壁を余計に刺激するのは、これらの有害物質だけではありません。安全を心がけた食生活をしていても、体の中でニトロソアミンという発がん物質が作り出されるという問題があります。これは野菜などの食品に含まれている硝酸塩と、魚介類に含まれているたんぱく分解物であるアミンが胃の中で反応することで作り出されます。
大腸がんで亡くなる人は、今から30年ほど前には年間1万2000人ほどでしたが、最近の調査では5万3000人と約4.4倍にも急増しています。このままの勢いで増え続けるとあと10年ほどで大腸がんが、全がん中の第1位になるのではないかと予想されているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕