腸の健康づくり5 腸は免疫のセンター

身体を病原菌や有害物質から守っている免疫は、免疫細胞の白血球とリンパ球によって保たれています。白血球もリンパ球も軍隊のようなもので、敵の種類と数に応じて、それに適した軍隊を整えて攻撃をしていきます。

リンパ球にはB細胞とT細胞があり、B細胞は敵と戦う抗体を作り出し、T細胞はミサイルのように敵を直接的に攻撃します。

B細胞は骨髄で造られ、そのあと胸腺で熟成されて活動力を高めます。胸腺の機能は40歳ころから低下するので、免疫の中心は胸腺から腸内へと移っていきます。

腸の中には、口から体に入ってきたものが運ばれてきます。その中には病原菌やウイルスなども含まれています。

これらの体にとって有害なものが腸内に入ってきたときに、すぐに危険をキャッチして、免疫細胞の働きを活発にさせようとする仕組みが体の中にはあります。そのキャッチする場所は、パイエル板と呼ばれる免疫細胞が集まっているところです。

免疫細胞には白血球の好中球とマクロファージ、リンパ球のB細胞とT細胞がありますが、この中でもパイエル板で重要な役割を果たしているのはマクロファージです。

マクロファージは大きな白血球で、有害物質などを内部に取り込む貪食によって処理していきます。処理したあとに、どんなものを、どれくらい処理したのかというサイン物質を外に出します。

そのサインを受けて、マクロファージで対処できない有害物質が入ってきたときには、さらに強い免疫細胞のリンパ球のB細胞とT細胞が登場するという仕組みになっています。

サイン物質は腸内だけでなく、血流に乗って全身に広がっていくので、全身でリンパ球の働きが高まり、全身の免疫力が高まっていきます。こういった免疫が腸内で起こる仕組みは、腸管免疫と呼ばれています。

腸管免疫を高めるためにはパイエル板が有害物質に触れやすくなっていることが大切で、そのためには腸内で善玉菌が増殖して、便通がよくなって、腸内が綺麗になっていることが必要です。

便通が悪くて、腸壁が便で汚れている状態では、マクロファージが病原菌などをキャッチしにくくなり、腸管免疫が働きにくいということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕