下痢は便に含まれる水分が多くなりすぎて軟便や水様便となって出るものを指します。病気が原因になっている下痢もありますが、ほとんどの場合には暴飲暴食や不規則な食生活、ストレス、体の冷えなどが原因となって起こっています。
便秘では改善に威力を発揮する食物繊維は、下痢の場合には消化が悪く、腸を刺激するので量を少なくしなければなりません。また、コーヒーやアルコール、炭酸飲料などの刺激物は禁止されます。冷たい飲み物と食べ物も腸を刺激するので、温かいものを、ゆっくりと噛んで食べるようにします。
下痢の原因として注目されているものに過敏性大腸症候群があります。消化器科受診の60%を占めるほど増えてきているものですが、ストレス性下痢とも呼ばれていて、精神的なストレスによって自律神経の調整がうまくいかなくなり、大腸と直腸の間にあるS状結腸の収縮が低下します。
大腸では水分を吸収して、適度な硬さの便にしているわけですが、S状結腸の収縮が低下すると、まだ水分の多いままで便が通過して下痢になるというものです。
下痢になると腸内細菌の善玉菌も悪玉菌も排出されますが、悪玉菌は増殖しやすいので腸内細菌のバランスが崩れてしまいます。悪玉菌は有害物質を多く作り出し、これを排出するために、再び下痢を起こすことになります。
過敏性大腸症候群は、下痢だけでなく、自律神経調整が乱れることで逆にS状結腸が収縮して便秘になる例もあります。便秘になると悪玉菌が多くなり、悪玉菌が作り出した有害物質(毒素)で大腸が刺激される時間が長くなって、便秘のあとに下痢が起こることになります。
下痢によって腸内細菌のバランスが崩れることで、便秘になり、また下痢になるといったように便秘と下痢を繰り返すようになる人が多いのも、この過敏性大腸症候群の特徴です。
便秘と下痢では、食事の内容が異なるわけですが、過敏性大腸症候群では、そのときの状態によって食事を切り換えなければいけません。過敏性大腸症候群になったら専門家の治療と栄養指導も必要となってきます。
便秘は、腸管の炎症や腫瘍、甲状腺機能の低下などの病気によっても起こります。また、下痢は腸管の炎症、ウイルスや細菌による疾患、分泌液の異常、糖尿病や膠原病などによっても起こります。
たかが便秘、下痢と軽く考えて放っておいたために症状が悪化することもあるだけに、原因に思い当たることがなかったり、便秘や下痢が長く続くようなら、専門医で早めに診断を受けることをすすめます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕