言い違い1 言い間違いとの違い

これまで「言い間違い」のテーマで、50回にわたって言葉の誤用について書いてきました。

中には誤用(誤った使い方)という認識がされないまま使われていて、調査をすると誤用のほうが圧倒的に多いという例もありました。

また、間違った使い方をする人が多くなった結果、それが慣用句として広く認識されるものや、いつしか辞書にも正しい使い方として掲載されるものも出てきていて、どこで線を引いたらよいのか判別がつきにくい言葉も、徐々にではあるものの着実に増えてきています。

このようなことを、日本メディカルダイエット支援機構の理事長の立場で書いてきたのは、単なる物知り(と揶揄する人も実際にいた)というようなことではなくて、広く健康に関わることを伝えてきた中で、困ったことにも実際に遭遇してきたからです。

講習や講演の中で使った言葉を本来の意味ではなく、違った意味にとらえられて真意が伝わらなかった、というのは、まだよいほうです。逆の意味として受け止められて、講習などが不十分に終わった、誤解を招くことになったということも経験してきました。

これまでの連載のタイトルの「言い間違い」について「言い間違え」ではないかとの質問があり、その違いを説明していく中で、“深みにはまってしまう”ようなこともありました。

新たに「言い違い」のタイトルで50回を目標に書き進めていく前に、単純に「間」を抜いただけでないことを示すために、言い間違いと言い違いの違いを書くことにしました。

「言い間違い」を辞書で引くと、「間違ったこと言うこと」に続いて「言い違い」と説明されています。簡単に言うと同じ意味だということになるのですが、「言い違い」には間違って言葉を使うこと、言いそびえる(言いたいことを言うタイミングを逃す)こととの説明が出てきます。

間違ってはいないものの、使い方が違っている、タイミングが違っているということで、別の表現をすると「言い損ない」ということになりそうです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕