言い間違い18 客寄せパンダ

人を呼び寄せるために着目される存在のことは「客寄せパンダ」と表現されることがあります。

東京の上野動物園のジャイアントパンダは、まさに来園者を集める存在で、パンダを見にきた人が他の動物も見る、お土産を買う、飲食もするということで、全体的に売り上げが増えました。

上野動物園だけでなく、上野公園の各店の売り上げも増え、上野公園の近くの店舗、デパートなども増収になりました。さらに上野駅を利用する人も増えて、地域全体に貢献することになりました。

これを例として、商品販売やサービスの世界でも「客寄せパンダ」を作り上げることが戦略として広まりました。

「客寄せパンダ」のほかに「人寄せパンダ」という言葉もあって、どちらが先なのかが話題になることもあります。パンダが初来日したのが1972年のことで、「人寄せパンダ」は1981年の流行語なので、「客寄せパンダ」が先だと思われがちです。

ところが、調べてみると先に登場したのは「人寄せパンダ」だということがわかりました。

この言葉を初めて言ったのは、中国からのパンダ来日に一役買った田中角栄総理大臣で、自民党の演説会で「あえて人寄せのためのパンダになろう」と言ったことから世に広まりました。

「たとえ晒し者になっていても、頼まれれば、どこにでも行く」という意味で発せられたもので、「人寄せパンダ」が、いつしか「客寄せパンダ」も使われるようになり、そして今は「人寄せパンダ」という間違った言葉が普通に使われるようになっているということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕