言い間違い19 喧々諤々

漢字の読みが難しい、似たような漢字があってわかりにくい、というものは複数存在しているのですが、その中でも間違われることが圧倒的に多いのは「喧々諤々」です。喧々は「けんけん」、諤々は「がくがく」と読みます。

喧々は、やかましく騒ぐことを表す言葉です。諤々は、遠慮せずに直言することを表しています。この二つが合わさった喧々諤々は、「やかましく騒いでいるようでも、実は遠慮せずに正しいことを言っている」という意味合いになるので、これで正しいようにも思われがちです。

自分の考えを、そのままぶつけているのは正しいことだと言う(言い張る)人が、喧々諤々を使っていることを何度か見聞きしています。しかし、これは明らかに誤用(間違った使い方)です。

喧々に続くのは囂々(ごうごう)で、諤々の前に置いて使うのは侃々(かんかん)です。つまり、「喧々囂々」(けんけんごうごう)と「侃々諤々」(かんかんがくがく)が入り混じって、喧々諤々(けんけんがくがく)になってしまっていると言うことです。

喧々囂々は、多くの人がやかましく騒いでいる状態を表す四字熟語で、議論が活発に行われている状況を通り越して、収拾がつかなくなっている状態を指しています。

もう一つの侃々諤々は、ひるまずに盛んに議論をする状態を指しています。

NHK放送文化研究所では、誤りやすい混合表現の代表的なものとして侃々諤々をあげています。

喧々囂々と侃々諤々の両方を読めるだけでも、すごいと言われるような四字熟語で、その意味を知っていたら、もっとすごいことかもしれません。

そして、誤りである喧々諤々について語ることができたら、さらにすごいと言われるところですが、これを間違って他の人に説明している人もいて、誤用というのは修正が難しいものだという例として使われる表現にもなっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕