誤解を招きやすい言い方をすることを「語弊を招く」と表現する人がいます。
「語弊」は、誤解を招く可能性を指す言葉です。表現をしたときに本来は意図されていない意味を聞き手に与えてしまうことで、誤解や不適切な解釈を生じさせることを意味しています。
ということは、「語弊を招く」というのは「誤解を招きやすい言い方を招く」という意味が重複していて、不適切な表現ということになります。
正しくは「誤解を招く」であり、語弊という用語を使うとしたら「語弊がある」ということになります。この二つが混同して使われているのが「語弊を招く」ということです。
「語弊を招く」などという言葉を使ったら、それこそ誤解を招くことになってしまいます。この言葉を、連載コラムの「言い間違い」の中で取り上げようと考えるきっかけになったのは、テレビ番組のルポのシーンで、レポーターが使っていたからです。
「そんな言葉を使っていると“語弊を招く”と言われかねないぞ」と感じて、私が見ていた民放地方局の全国キー局の知り合いに連絡をしてみました。
間違いを認めるとか、謝るということではなくて、「レポートをしているのはADばかりだから」とか「誰もチェックしていないから」という言い訳がましい言葉が返ってきました。
これまでプロではなくてもレポーターがマイクを握ってレポートしていたのに、今ではAD(アシスタント・ディレクター)が担当しているということでした。その理由を聞いても、「他の局も同じだから」という反応でした。よほどの予算不足か人不足ということなのでしょう。
ADがレポートをしていても、それをディレクターやプロデューサーがチェックして修正すればよいだろうに、それもされていないのでは、これからも「語弊を招く」シーンを見聞きすることが多いのだろうという感想です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕