お釈迦さまの手のひらと孫悟空の逸話を持ち出すこともなく、世の中は広く、「上には上がいる」というのは多くの人が感じていることです。
かなり以前のことですが、著名な業界人から名言が書かれた色紙をいただく機会がありました。他の方は、なるほど!と感じさせられる内容だったのですが、私が手にした色紙には「上には上がいる」と書かれていて、「どこまでも挑戦し続けることが大切」という言葉もいただきました。
それはそれで有難い機会ではあったものの、その著名人のゴーストライターとして原稿を書いたときに、私が修正した元原稿の文と同じことだったので、私の原稿も書籍になってからも目を通していなかったのではないか、と感じた瞬間でもありました。
正しくは「上には上がある」で、「上には上がいる」は誤用です。
人の行動に対して使う言葉であったら「上には上がいる」でもよいのかもしれませんが、モノやサービスなどにも使われる言葉でもあるので「上には上がある」でないと違和感があります。
最高に優れていると思っても、さらに優れたものがあるという意味で、自惚れや慢心を戒める意味で使われます。
業界のトップであることを誇っていたのに、少しだけ目線を広げたら、トップではなくて平凡な状態だった、安泰でもなかった、ということはよく聞くことです。
それに気づいて「上や下への大騒ぎ」となったという報告を受けたことがあるのですが、大変な状態だったのだろうなと思いつつも、それは誤用で、正しくは「上を下への大騒ぎ」なのにと思ったものの、それは口にできない状態でした。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕