うなされるというのは、恐ろしい夢を見て、苦しそうな声を出すような状況で使われる言葉で、「悪夢にうなされる」といった使い方がされます。
漢字では魘されるとなりますが、「魘」は、うなされる、おそわれる、おびえるといった意味があります。
お題の「熱にうなされる」は、発熱して悪夢を見たり、苦しい思いをするという印象と合致している感じがするので、これでよいように思われることもあるのですが、明らかな誤用です。
正しい使い方は「熱にうかされる」で、漢字では浮かされると書かれます。病気で高温のために譫言(うわごと)を言うことを指しています。
「浮かされる」と書かれるように、前後のことや周りのことを忘れて夢中になること、冷静さが失われることで、いわゆる“のぼせ上がる”ことも意味しています。
後者の場合の熱は、実際の発熱のことではなくて、まるで熱が出たかのように正常な状態ではなくなってしまうことを指しています。
“オンカジ”などの簡単に入ることができるギャンブルにハマってしまい、抜け出せなくなることは「熱にうかされる」状態で、冷静になって振り返ってみると、なぜハマったのかわからないというようなことです。
そこで元に戻れればよいものの、悪夢のような出来事を引きずって、悪いと思っていても続けてしまうという状況が多く見られると、ひょっとしたら「熱にうなされる」でも合っているのか、とも感じてしまうところです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕