物事の要点を的確に捉えることを表現するのに「的を得る」という言葉と「的を射る」という言葉が使われることがあります。どちらが正しい使い方であるのか議論になることがあり、それは今も続いています。
的(まと)は弓や鉄砲の発射の目標とされるもので、その的に向かって矢や弾を放つことは「的を射る」というのは本来の使い方となります。
放った結果として矢や弾が的に命中することも指していて、そこから「的確に要点を捉える」ということを意味するようになりました。
的は射るものであって、得るようなものではありません。なぜ「的を得る」という言葉が広まったのかというと、「当を得る」と混同されたからだと一般に説明されています。当を得るは、道理にかなっていることを意味しています。
では、「的を得る」という表現は、誤用であって、絶対に使ってはいけないのかというと、テレビなどで耳にすることも増えています。これは日本語をよく知らないタレントなどが使っているというだけでなく、レポーターからも聞くようになっていて、さらにアナウンサーも使うことがあります。
その理由としては、レポーターやアナウンサーは原稿に書かれたことを、そのまま読んでいるからということがあります。原稿を書いている人、それをチェックする人が正しい使い方をわかっていない、ということを指してのことです。
また、「的を射る」と原稿に書かれていても「まとをえる」と読み間違えてしまうことも考えられています。
そのようなことが起こるのは、「的を得る」が誤用というよりも慣用として使われている実態があるからです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕