言い間違い31 うがった見方

「うがった見方」というのは、「物事の本質や隠れた部分を深く見抜く」という意味であるのに、「疑ってかかる」とか「ひねくれた」という誤った使い方をしている人も少なくありません。

そのために、褒めてくれたと思って、よい気分になっていたのに、「うがった見方を改めるように」と言われることもあって、混乱させられることもあります。

どうして、そのようなことが起こるのかということを考えるために、漢字の「穿った」を示しています。

穿つというのは、もともとは穴をあける、掘るといった意味があります。

そこから比喩的に「物事の本質や隠れた部分を深く見抜く」、「人の気持ちや考えの微妙な部分に巧みに触れること」を指すようになりました。

文化庁の『国語に関する世論調査』では、「うがった見方をする」の意味を尋ねる調査をしています。その結果、「物事の本質を捉えた見方をする」が26.4%であるのに対して、「疑って掛かるような見方をする」は48.2%となっていました。

正しい使い方よりも誤用のほうが圧倒的に多いという結果で、これ以外は両方の意味で捉えていた人(2.1%)、両方の意味と全く別の意味だった人(2.9%)、わからない(20.3%)となっていました。

間違った使い方であっても、一般に使われているうちに、だんだんと正しい使い方であると思われるとか、そのように動いていくということは他の言葉ではあっても、「うがった見方」だけは、そうならないであろうと考えられています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕