「疲労回復」という言葉は普通に使われています。健康食品や健康器具の有効性を示すためにも使われていて、有名な栄養ドリンク(タウリン配合)のパッケージにも疲労回復が書かれています。
疲労回復は、消費者庁による機能性表示食品の機能性を示す用語としても、よく出てきます。
「睡眠を改善することによって疲労回復が期待される」というような表示ですが、さまざまな機能性関与成分があり、疲労回復は自覚的なものでもあるので安易に使われやすいところがあります。
しかし、「疲労回復」は誤用ではないかと以前から指摘されていました。
疲労回復は、「体や心に溜まった不快感を解消して、心身の活力を取り戻すこと」と説明されることが多くなっています。
疲労については日本疲労学会が「疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である」と定義しています。
疲労は、心身への過負荷によって生じた活動能力の低下のことだとすると、この状態を回復させるのは「疲労回復」ではなくて「体調回復」が正しい表現ではないかとの考えがあります。
体調がわかりにくい表現だとすると、体力回復、気力回復と言い換えることが適切ではないかと指摘されています。
言葉の使い方にうるさい(厳密な)NHKでも、かつては「疲労回復テレビ」という番組を放送していました。現在でも健康関連の番組の中で疲労回復という用語は頻繁に登場していて、疲労回復が誤用なのか、容認される言葉なのかの結論は、まだ出そうにはありません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕