エビデンス(科学的根拠)は、以前であれば医学的なところで求められるものでしたが、今では食品についても効能効果の裏付けとしてエビデンスが求められるようになっています。
そのエビデンスも、食品の場合は科学実験の結果だけではなくて、統計的に納得ができること、一般の方々のイメージに合ったものであることが求められます。これはサプリメントの効果とは大きく違っているところです。
納豆の全国PRについては前回(負の歴史11)、健康効果が伝わって、売り上げを伸ばすことができたと書きましたが、納豆を多く食べている地域の健康度が高く、平均寿命も長ければ、これほど広報しやすいことはありません。
ところが、納豆といえば真っ先に思い浮かべられる茨城県は、当時(2000年データ)の平均寿命の全国ランキングは34位でした。もちろん平均寿命は食べ物だけで決まってくるものではないのは当然のことですが、このランキングをエビデンスとして使うわけにはいきません。
茨城県を取り上げようと考えたのは、本場の納豆といえば水戸納豆ということであり、以前は納豆の生産量も消費量も全国1位でした。今では消費量(家計統計の消費金額)は他の地域に移っているものの、北関東・南東北の消費量が多いことは変わっていません。
こういったこともあって、納豆の消費量と健康度を地域別に取り上げることはせずに、食品としての健康効果について着目してもらう広報に徹して、これは納豆に続いた豆腐と豆乳の全国PRでも同じようにしていました。
それもあって、健康効果の効能が全国PRのポイントになったのですが、表現を間違ってしまうと法律違反となって、個々の商品だけでなく、食品そのものの売り上げにも大きな影響を与えることになります。
その効能効果の伝え方の匙(さじ)加減が重要となるわけですが、なぜ匙加減が可能だったのかというと、サプリメント・健康食品を通じて効能効果の限界を知っていたからです。それは販売側の目線ではなくて、取り締まりをする側の立場で仕事をしていた期間があり、サプリメント・健康食品の表示の法律講師をやっていたからできたことです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






