日本で赤ワインブームが始まったのは1996年のことで、最大に盛り上がったのは1997年から1998年でした。
その根底にはフレンチパラドックスの研究がありました。フレンチパラドックスは、フランス人は飽和脂肪酸が多い食事をしているにも関わらず、心臓病(中でも虚血性心疾患)に罹患することが比較的少ないという逆説的な観察を指しています。
虚血性心疾患は、動脈硬化や血栓で心臓の中の血管が狭くなり、心臓に酸素と栄養が行き渡らなくなり、前胸部などに痛み(いわゆる心臓の痛み)や圧迫感といった症状が生じる状態です。
動脈硬化の最大の原因は悪玉コレステロールとも呼ばれるLDL(低比重リポタンパク質)であることは広く知られていました。
食事療法で血液中のLDLを下げることは難しいことですが、赤ワインの健康成分はポリフェノールだということから“赤ワインポリフェノールブーム”と呼んだほうがよいかもしれないくらい、「赤ワイン=ポリフェノール」ということが浸透していました。
この時期は脂肪の過剰摂取で動脈硬化が増えていたこともあり、その当時の死因は心疾患が第2位でしたが、それは今も続いています。脂肪を減らすのか、動脈硬化を抑える効果があるものを摂ればよいのかという論議があり、楽な方法としてメディアなどでポリフェノールの摂取がすすめられるようになりました。
赤ワインの健康成分を摂るには何を選べばよいか、という発想をしてもらえばよかったのですが、飲酒習慣がない人が健康のために赤ワインを飲んで、かえって健康を害したということも多く聞くようになりました。
このことはメディアでも取り上げてもらったものの、それでも赤ワインが売れるほど飲酒による健康被害が増えるという困ったこともあったのですが、それでも赤ワインの売り上げが下がることはありませんでした。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






