負の歴史17 抗酸化成分との付き合い

抗酸化成分といえば、植物に含まれる色素成分で、その総称がポリフェノールです。ポリフェノールは植物の苦味、渋み、アクなどの成分で、紫外線を浴びた結果の光合成によって作られます。

強い抗酸化作用(活性酸素を消去する働き)があり、色素が多いほど抗酸化力が強い特徴があります。ワインでいえば、ロゼワインにもポリフェノールは含まれるものの、色が濃い赤ワインのほうが抗酸化力が強いというので、味わいではなくて色の濃さだけで選ばれるようなこともありました。

赤ワインはフランスのボルドー大学によって基礎研究が行われていましたが、それに続いて同大学ではフランスの南海岸に自生するフランス海岸松の内部樹皮に含まれるピクノジェノールの研究が始まり、強い抗酸化機能が確認されました。

しかし、内部樹皮は量が限られることから原材料が多くあるブドウの種が注目され、その抽出成分のグレープシードオイルの抗酸化作用について報告されました。

抗酸化成分としては赤ワインのアントシアニンやレスベラトロール、緑茶のカテキン、チョコレートのカカオマスポリフェノール、大豆のイソフラボン、りんごのりんごポリフェノール、コーヒーのクロロゲン酸、烏龍茶のウーロン茶重合ポリフェノールなど400種類以上も発見されています。

その後には、緑茶のカテキン、魚介類などの赤い色素のアスタキサンチン、ごまのセサミン、トマトのリコピン、マリーゴールドのルテイン、カシス、ブルーベリーなど、さまざまな抗酸化成分が登場しましたが、2001年に決定的とされるコエンザイムQ10が登場しました。

コエンザイムQ10は同年に医薬品の成分から食品の成分として用いることが許可され、抗酸化成分の代表としてだけでなく、糖質と脂質を代謝させる補酵素として広く知られるようになりました。

抗酸化成分であればよい、色素が多ければ抗酸化力が強いという考えが広まった時期もあるのですが、それぞれの成分によって得意とする健康機能があり、それと合致するものを選ぶべきだということを広めていったつもりですが、それが今も充分には伝わっていないことが私たちの心に引っかかっているところです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕