負の歴史22 医者の不養生の改善

健康を売り物にしている人というと、①自分自身が健康であることをアピールする人と、②他人を健康にする仕事をしている人を指すことが多いのですが、その両方が当てはまる人というのは、なかなかいないというのが現実的なところです。

“医者の不養生”という言葉は、他人に健康に気をつけるようにすすめる医者が、自分自身は健康に注意を払わないことを指していますが、そこから転じて正しいとわかっていながら自分では実行しないことのたとえとして使われています。

前者の医師そのものの不養生については、30歳の時(40年前)から医療機関が情報源でもあり、情報発信先でもあって、頻繁に足を運んでいたこともあって、どんな不養生かは嫌というほど見てきました。

“医者の不養生”は2001年からの厚生労働省の健康施策の改善テーマの一つでした。2001年は、厚生省と労働省が合併して厚生労働省が発足(厚生労働省として再出発)した年です。

医療に携わる人と働く人(どちらかといったら患者)の両方の健康づくりのために、いかに医師を健康するか(健康の見本にするか)ということが実際に検討されました。業界出向の形で私も関わりがあったのですが、なかなか改善が進まなかったということは、今の状況を見ればわかるはずです。

2008年には、新たな健康づくり施策としてメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に焦点を当てた特定健診・特定保健指導(いわゆるメタボ健診)が始まりました。

内臓脂肪の蓄積が重大疾患(死亡原因の上位を占める疾患:がん、脳血管疾患、心臓疾患)の引き金になることは長年の研究で明らかにされていましたが、その対策として8学会を巻き込んで実施したのは、“医療関係者の肥満対策”(予防・解消)の考えもありました。

8学会によって、診断基準が定められましたが、その8学会は、日本内科学会、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会、日本高血圧学会、日本肥満学会、日本病態栄養学会、日本心血管インターベンション学会、日本循環器学会で、その会員数の多さにも期待されていました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕