負の歴史44 糖尿病の患者と予備群の数

糖尿病が国民病と呼ばれるようになったのは1970年代のことですが、その当時の患者数は約100万人と推計されていました。新たな調査結果が発表されるたびに増加傾向となり、平成28年(2016年)調査の「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)では、糖尿病患者は約1000万人と発表されました。

国民健康・栄養調査では、糖尿病患者は「糖尿病が強く疑われる者」とされていて、一般に“糖尿病予備群”と呼ばれる人は「糖尿病の可能性を否定できない者」とされています。

国民健康・栄養調査では、糖尿病が強く疑われる者はヘモグロビンA1cの値が6.5%以上の者、または医療機関や健診で糖尿病と言われたことがある者を指しています。

糖尿病の可能性を否定できない者は、ヘモグロビンA1cの値が6.0%以上6.5%未満の者となっています。その人数は、平成28年調査では約1000万人と発表されました。

合計で約2000万人ですが、国民健康・栄養調査は成人人口約1億人のうちの推計値であることから「国民の5人に1人が糖尿病か予備群」という衝撃的な結果がメディアなどで盛んに報道されました。

この結果を受けて、「翌年は増えるのか、それとも減るのか」といったことも語られていたのですが、その発表は望めないことでした。というのは、国民健康・栄養調査で“推計人数”(20歳以上、男女計)が発表されるのは5年に1回のことで、それ以外の年は「糖尿病が強く疑われる者」と「糖尿病の可能性を否定できない者」の男女別の割合だけだからです。

平成28年の5年後というと平成3年(2021年)の調査となるわけですが、実際には令和6年(2024年)調査の結果が令和7年12月に発表されました。8年ぶりの発表で、これはコロナ禍の影響で3年間、調査そのものが実施されなかったためです。

令和6年調査では、糖尿病が強く疑われる者は1100万人となりました。これを示して「10%も増加した」と報道したメディアもありましたが、糖尿病予備群は約700万人と30%も減りました。

つまり、糖尿病患者と糖尿病予備群の合計数は約1800万人と、20%の減少となっています。この結果を受けて、「その間に何があったのか?」という疑問を投げかけた一部のメディアもありました。

国民健康・栄養調査は国民全員に調査をするわけではなくて、調査対象は約2万人、そのうちの回答者は約1万人で、その人たちの結果を20歳以上の人口に当てはめたものです。

そもそも国民健康・栄養調査は、国の健康施策の基本とするためのデータであることから、各回の結果に一喜一憂するのではなくて、推移を見て、今後の対策について考えていくことが重要という認識を持つようにしてもらいたいのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕