金言の真理20「心が折れる」2

「心が折れる」という言葉は女子プロレスラーの神取忍さんの「相手の心を折る」が発祥で、そのことは辞書にも載っているということを前回書きました。神取さんとは共通の知人を通じて、過去の活動を書籍化することで会ったのが初めでした。

壮絶な試合で相手の腕を折るような状況であっても、関節技で「相手の心を折る」ということで止めたという本当のプロ意識の現れということを書きました。

この試合(神取忍VS.ジャッキー佐藤)を取材したプロレス記者から、「あれはプロレスではなかった」と聞きました。その記者は東京スポーツの山田隆さんで、全日本プロレスのテレビ中継の解説者として有名な方でした。

当時の後楽園ホールではテレビ中継がある日は、関係者でもあっても入れてもらえなかったのですが、中継がない日にも山田さんは取材に訪れていたので、その日には、一緒に記者席に並んで見させてもらっていました。

東京スポーツの前身は国民タイムズと言いますが、日本初のプロレス記者(山田さんの先輩)が知り合いで、後楽園ホールまで歩いて5分のところにある出版社の社長であったので、取材の勉強と称して時間さえあれば行っていました。

その日本初のプロレス記者は、厨房業界の機関誌の編集を副業でやっていて、私が厨房業界から栄養業界、健康業界と歩んでいくきっかけを作ってくれた方です。

前出の「あれはプロレスではなかった」という発言は、遺恨があるバチバチのケンカマッチで、“プロレスの常識”が通じない試合だったということを表しています。

“プロレス”はショー的要素があるもので、それがない本当に腕を折る凄惨なシーンを見ることになったかもしれない、という状態でした。これは何度も映像を見てきて、今でも感じることです。

神取さんは、最後には「相手の心を折る」ことで止めました。

それに比べたら今では「もうダメだ」と心の支えを失わせることを何とも思わずに、平気でやってしまう人が増えてきています。これについては次回に書かせてもらいます。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕