何でもかんでも減らせばよい、使わないものは捨てればよいという断捨離と、ミニマリズムとは違っているのですが、ミニマリズムの実践をすすめるメディアの伝え方は、今も断捨離の時から変わっていないようです。
断捨離は、ヨガの断行(不要なものを断つ)、捨行(不要なものを捨てる)、離行(物への執着から逃れる)から来ている言葉です。古く伝えられてきた言葉のように感じるかもしれません。また、インドの思想だと書いている書籍もあるものの、初めて登場したのはヨガの書籍(1976年発行)の中の一文です。
また、一般向けの書籍としては2009年にタイトルとして初登場していて、商標登録もされています。そんなに古い話ではなかったのです。
お笑いタレントのヒロシは、「ヒロシです」の名言(迷言?)に続いて、実際にありそうな失敗談を語っていますが、その一つに「生活感のない部屋にあこがれて、余計なモノを捨てました。生活ができなくなったとです」という熊本弁で語ったものがあります。
買わなければいい、捨てればいいということではなくて、最低限のものの中で暮らすという「足るを知る」ことを行う人でないと、ミニマリズムを実践するミニマリストとは言えなくなります。
私は一般社団法人全日本ミニマリスト協会の理事を務めている中で、「足るを知る」について語ることもしてきました。
日本人は何度かの難局を乗り越えてきた中で、足ることの意味を充分に知っていると思っていたのですが、案外と「足るを知らない人」や「足るを知ろうとしない人」が多いことを思い知らされてきました。
それだけ「足るを知る」は難しく、それを知ることだけでも修行になるのではないか、と感じて、これからも金言として使い続けていきます。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕