タイアップ(tie up)は、もともとの連携や提携といった意味ではなくて、複数の企業が共通の目的を達成するためのマーケティング手法として使われることが多くなっています。
お互いの強みやリソース(資源)を活かして、ブランド認知度のアップや売り上げの向上を目指していくためのもので、タイアップ広告、タイアップ商品、タイアップキャンペーンなどが、よく目にするものです。
これが一般の認識ですが、メディアの力が強くなりすぎて、タイアップが商品やサービスの紹介になっていて、本来のタイアップから外れたものが増えています。民放のテレビ局は広告を入れることで、それ以外の時間は自由に制作することができるというのが原則です。
自由にといっても、広告を入れている会社の意向を優先させたり、忖度するのは仕方がないことです。
忖度(そんたく)というのは、「相手の気持ちや意向を推し量って配慮すること」を意味しているので、本来は“思いやり”というポジティブな感覚の言葉です。ところが、今ではネガティブな意味を持って使われることが多くなっています。
それを後押しすることになったのは、忖度が、2017年の新語・流行語大賞の年間大賞を受賞した際に、上司の顔色をうかがう、ごますりといった意味合いの解説がされたことから、間違った意味が広まってしまいました。
忖度は特に何も言われなくても思いやりで行われていたのに、「言わなくても、わかるよな」の雰囲気をもってビジネスで使われるようになって、本来のタイアップがメディアの世界では「腐ってもタイアップ」と言われかねないことになっています。
メディア側は取材をしたり、情報収集をしなければならないところを、タイアップによって情報収集をしないで済むので時間や労力の節約になります。また、放送時間を埋めるための情報が無料で得られるということでメディア側にとってもメリットになります。
だから、タイアップには料金が発生しないというのが常識だったのですが、今では“有料タイアップ”という奇妙なことがまかり通っているのです。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕