金言の真理3「敵は我に在り」3

タイトルの「金言」の金は、金(きん)と読むのか金(かね)と読むのかというと、もちろん金(きん)ですが、私が長く続けてきたのは書くことと話すことで、言葉を金(かね)にすることをやってきたと言えます。

言葉を金(かね)にする機会としては、書籍と講演がありますが、野村克也さんがプロ野球の現役選手を引退して、評論家や解説者を続けながら監督を目指していたときに、私の仕事先の一つの厨房機器の工業会の会合に招いて、「敵は我にあり」のタイトルで講演をしてもらったことがあります。

小さな団体であったのに招くことができたのは、「敵は我にあり」をタイトルにした書籍を通じて知り合っていたからです。といっても、ゴーストライターとしてではなくて、PRに参画した縁があってのことです。

講演の中身としては、前回(金言の真理2)に触れたとおりのことで、プロ野球界の情勢や噂話の真相などの話がメインで、その前後に「敵は我にあり」というフレーズを使った話が少しだけあって、合計で1時間ほどになるという流れは、そのままでした。

そのようなワンパターンとも言われかねない内容であっても、これを良くするのも悪くすのもマッチングの腕であって、「敵は我にあり」のタイトルを“言い得て妙”と感じる人の集まりと組み合わせることができれば勝ちという感じでした。

金言は、誰もが納得する言葉であるのが理想ですが、マッチさせることができれば、話を聞いた人の多くに金言と感じてもらうことができるということです。

そのためには、自己満足するのではなくて、これでよいのかと常に考える「敵は我にあり」の発想が重要だと気付かされる機会ともなりました。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕