金言の真理74「お客様は神様です」5

国民的歌手の三波春夫さんが「お客様は神様です」と舞台から発したのは1961年(昭和36年)のことです。その時に私は6歳でしたが、今のようにメディアが普及していなかった時代に、そのことを知ったのは7歳になってからでした。

3歳から小学校入学直前まで暮らした母親の実家の寺院(新潟県出雲崎町)には、町で3番目という早さでテレビが届いたので、情報は早かったほうです。

しかし、まだ白黒テレビしかなくて、放送時間も朝夕に限られていた時代(新聞のテレビ欄よりもラジオ欄のほうが広かった)だけに、最新情報は届かない、映画館のニュース映画で最新情報を初めて見るというような時代でした。

親元で暮らすようになってから、これも村で3番目というテレビが家に来たのは小学2年生の時だったので、1年間の情報差があって、このときに「お客様は神様です」が伝わったということを後になって聞きました。

私にとっての三波春夫さんに関する情報は、なんといっても1957年(昭和32年)にリリースされた大ヒット曲「チャンチキおけさ」で、物心ついたときには、ラジオからも蓄音機のレコード(ドーナツ版)からも当たり前のように流れていました。

中でも記憶に強く残っているのは、3年間ほど暮らした寺院の行事の飲食の機会で、酒が入って座が盛り上がってきたときに、「そろそろ」との掛け声で芸達者の門徒(浄土真宗なので檀家とは呼ばなくて)が小皿でリズムをとって、「チャンチキおけさ」を歌うというのが定番でした。

「チャンチキおけさ」の歌詞は「知らぬ同志が小皿たたいてチャンチキおけさ」ですが、顔見知りが小皿を左右に2枚ずつ持って、まるでカスタネットのように鳴らしながら歌い、集った人は手拍子で一緒に歌うという昭和の一つのシーンでした。

寺院は山の中腹にあって、遠景には佐渡おけさの発祥の佐渡島が見えるというところでしたが、佐渡おけさは宴会では歌われることはなくて、佐渡おけさをモチーフにした「チャンチキおけさ」ばかりでした。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕