食のリテラシー23 善玉菌の増えすぎ

腸内細菌の善玉菌は、健康のためによい物質を代謝で作り出すものを指しています。悪玉菌は健康にとってよくない物質を代謝で作り出す腸内細菌で、よくない物質は毒素とも呼ばれています。

毒素は有害物質であり、少ないほうがよい、できればないほう(ゼロの状態)がよいとも考えられることもあります。しかし、そのようなことはありません。

悪玉菌にも重要な役割があり、肉類などのたんぱく質の消化を助けて排泄を進める、栄養素の吸収をよくする、適度に悪玉菌があることによって免疫を高めるという機能が認められています。

悪玉菌が多くなりすぎると下痢や便秘を起こしたり、毒素が大腸壁を刺激して炎症を起こす、毒素が大腸壁から吸収されて血液中に入って免疫細胞の働きを低下させる、解毒作用のある肝臓に負担をかけるということにもなります。

腸内細菌の理想的なバランスは、「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」の割合とされています。

腸内で善玉菌と同じような働きをするビフィズス菌などを摂取しすぎて、善玉菌が増えすぎると発酵が進んで、ガスが多く発生する、便が軟らかくなりすぎる、それが下痢の原因になるということも起こります。

外部から乳製品などに含まれる善玉菌を摂ることで、すぐに効果があるのは、ボーダーラインに近い状態の人の場合であって、善玉菌が少ない人は効果が現れにくくなっています。

それぞれの人の状態にもよるのですが、腸の調子がよい(便通がよくなる)からといって、善玉菌の栄養源(エサ)となる糖質、食物繊維、乳製品を摂りすぎると、よくない状態にもなりかねないので、そこのところのバランスは大切になってきます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕