血液をサラサラにしてくれる脂肪と、それとは逆に血液をドロドロにする脂肪があれば、どちらを摂りたいかと問われれば、多くの人はサラサラのほうを選ぶはずです。
それでよいのかというと、必ずしも正しいとは言えないところがあります。
その実験をやったことがある私の臨床栄養の師匠は、病院の入院患者の協力を得て、血液をサラサラにする効果がある不飽和脂肪酸が多く含まれる青背魚の摂取量を主にして、どれくらいサラサラになるのか、その結果として何が起こるのかを調べました。
その結果を簡単に紹介すると、サラサラになりすぎて、血管に傷ができたときに出血が止まりにくくなることを確認して、学会発表をしています。
血管に傷ができたとき、というと特別な状況(怪我をしたときなど)を想像するところですが、血管は常に切れて、常に再生されています。再生のときには血小板が傷口をふさいで修復しています。
血液がサラサラでないと動脈硬化が起こりやすくなり、サラサラ過ぎると出血しやすくなるということで、不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸のバランスが大切になるということです。
不飽和脂肪酸は青背魚だけでなくて植物油にも多く含まれています。これに対して血液をドロドロにするという飽和脂肪酸は獣肉類に多く含まれています。
どれくらいのバランスで摂ればよいのかというと、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、三大エネルギー源のバランスとして脂肪では全エネルギーの20〜30%の割合とされています。
そのうち飽和脂肪酸は7%以下とされていて、20%の脂肪摂取だとしても飽和脂肪酸は不飽和脂肪酸の3分の1ほどとなります。脂肪の摂取が多い人でも飽和脂肪酸は増やしてよいということではなくて、30%だとすると4分の1以下となります。
健康維持のためには、飽和脂肪酸が多い獣肉類は思ったよりも少ない量しか摂れないことがわかります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕