食のリテラシー25 悪玉コレステロールの理解

悪玉コレステロールは動脈硬化の原因であり、脳血管疾患や心臓疾患のように日本人の死因の上位を占める疾患を引き起こすと言われると、悪いもののように思って(思い込まされて)しまう人も多いかと思います。

コレステロールそのものに悪玉も善玉もなくて、コレステロールは健康維持には欠かせないものです。コレステロールは全身の細胞の構成成分であり、ホルモンの材料、十二指腸で脂肪を分解する胆汁の原料となっています。

コレステロールがなければ生きていくことができない重要な成分であることから、血液中のコレステロールの80%ほどは肝臓で合成されています。

そんなにも重要なコレステロールが、悪玉と呼ばれるようになったのは、中村治雄医学博士(防衛医科大学名誉教授)が命名して、学会で発表したのがきっかけです。

コレステロールは油脂成分で、血液は水に近い成分なので、水と油の関係で血液中では固まってしまいます。そこで肝臓の中でタンパク質と結びついた親水性のリポタンパク質の形にしています。

コレステロールが多く含まれているのがLDL(低比重リポタンパク質)で、全身にコレステロールを送り届ける役割をしています。血液中で増えすぎると動脈硬化のリスクが高まるので悪玉コレステロールと呼ばれています。

血液中で多くなったコレステロールを回収して肝臓に戻すのがHDL(高比重リポタンパク質)で、動脈硬化のリスクを低下させるということで、善玉コレステロールと呼ばれています。

LDLとコレステロールの役割を考えると、LDLを減らせばよいわけではないことがわかります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕