厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、エネルギー源の脂質の割合は20%〜30%とされています。
これはエネルギー量の割合であって、1g当たりで比較すると脂質は約9kcalのエネルギー量があり、同じ重量で糖質は約4kcal、たんぱく質も約4kcalのエネルギー量となっています。
ということは、脂質は同じ重量であれば2倍以上のエネルギー量であるので、全体的には、かなり抑えなければならないことになります。
脂質(脂肪)は必須脂肪酸と非必須脂肪酸に分けられていて、必須脂肪酸は体内では合成できないことから食事で摂取しなければならないものです。非必須脂肪酸は体内で合成されることから、摂取しなくても生きていける脂肪酸であると言えます。
では、必須脂肪酸だけを多く摂ればよいのか、非必須脂肪酸を摂らないようにすれば全体の脂質の量が減らせるのではないか、という考えも出てくるかと思います。
必須脂肪酸はn−3系とn−6系に分類されています。n−3系はオメガ3脂肪酸、n−6系はオメガ6脂肪酸とも呼ばれています。n−3系はα−リノレン酸、EPA、DHAの3種類、n−6系はリノール酸、アラキドン酸の2種類があります。
n−3系とn−6系は青魚や植物油に多く含まれていて、血液サラサラ系の脂肪酸で、動脈硬化のリスクを抑えることが知られています。また、免疫を強化すること、集中力を高めることも重要な効果となっています。
それならば、なおさら多く摂ったほうがよいと考えられがちですが、どんなに健康によい脂肪酸であっても、エネルギー量ということでは1g当たり約9kcalということには変わりはありません。摂りすぎはエネルギー源過剰となって、太るというリスクにもつながります。
血管は毎日、傷ついて、そこを血小板が塞いで出血を抑えています。血液がサラサラになりすぎると血小板ができるのが遅れて、出血しやすい状態にもなります。
要は、「過ぎたるは(猶)及ばざるが如し」ということで、適度に摂ることがすすめられます。“猶”(なお)は省略して使われることもあるのですが、猶には、「やはり、依然として」といった意味があります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕