腸の体質というと一般には便秘ぎみか下痢ぎみかと分けられることが多いのですが、便秘と下痢を繰り返すという人も少なくありません。
便秘と下痢を繰り返す原因としては、自律神経の乱れ、潰瘍性炎、大腸ポリープ、大腸がん、クローン病などがあげられていますが、最近、増えているのは過敏性腸症候群によるものです。
過敏性腸症候群は、ストレスや精神的な要因、腸内環境の影響が考えられています。過敏性腸症候群が軽度な状態であった場合には、体調の変化で改善されることがあるのですが、それを邪魔したり、悪化させること要因として食物繊維の摂取があげられています。
腸内細菌の悪玉菌が増えると便通が悪くなり、便秘の傾向になりやすくなります。便秘になると悪玉菌によって毒素(有害物質)が多く発生するようになります。毒素は大腸から吸収されて、血液中に入って、全身に影響を与えるようになります。
そのため、毒素を早く排出するために、自律神経の状態が切り替わり、また大腸内の水分量が増えて下痢を起こすようになります。下痢を起こすと腸内細菌の善玉菌も悪玉菌も多く排出されます。
腸内細菌が減った大腸内では、悪玉菌のほうが増えやすいことから悪玉菌が急速に増えていきます。そのために、下痢の後に便利になりやすい腸内環境となっていくことになるのです。
これを止めるためには、悪玉菌が増えすぎないようにすることですが、その方法として一つには善玉菌の栄養源(エサ)である糖質、食物繊維、乳製品(乳糖)を増やして、悪玉菌の栄養源である動物性たんぱく質と脂肪を減らすようにします。
もう一つの方法は水溶性食物繊維の摂取量を増やすことですが、多く摂取すればよいというわけではありません。このことについては、次回(食のリテラシー32)に説明します。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕