食の不都合な真実12 品種改良による栄養低下(ほうれん草2)

ほうれん草は品種改良によって栄養素が減ってきているということですが、中でも大きく低下しているのはビタミンCです。

食品に含まれる栄養素については、日本食品標準成分表(食品成分表)に記載されています。戦後初の食品成分表(初版)は終戦から2年後の1947年(昭和22年)に発表されました。

現場で活躍する栄養士や管理栄養士は、それぞれが学んだときの食品成分表を基本にして、改訂版が発行されるたびに情報更新をしています(しているはずです)。初版から現在の八訂増補版(2023年)まで、すべてを比較しているのは専門の研究者くらいです。

私たちが共同研究している研究者の中では、たった1人だけになっていますが、その収集されているデータを見ると、ほうれん草のビタミンCだけでも驚きの変化が見て取れます。

ほうれん草の可食部100gあたりのビタミンCは、初版では150mgでした。そこから改訂版が出るたびに100mg、65mgと低下していって、今では35mgにまで低下しました。

これは年間を通じた平均値であって、現在は旬と、旬以外の数値も発表されています。ほうれん草のように年間を通じて栽培されているものは旬の時期がわかりにくくなっていますが、最も栄養素の含有量が多い時期を旬だとすると冬場ということになります。

現在の可食部100gあたりのビタミンCは冬場には60mgであるのに対して夏場には20mgにも低下しています。これだけの差があることは、できるだけ消費者には気づかれないようにする不都合な真実の一つです。

平均が35mgまで低下することになったことは驚きではあるのですが、それ以上に着目すべきことは過去の平均の65mgよりも、現在の最も多い時期の60mgのほうが少なくなっていることです。

他の栄養素についても変化は大きくて、鉄は13mgから2mgに減少しています。

その理由の第一は品種改良ですが、農業や栄養に関連する業界では、サンプルと測定法の変化だと主張しています。そうなのかということは、次回(食の不都合な真実13)に書くことにします。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕