食の不都合な真実14 品種改良による栄養低下(大根1)

大根は品種改良によって、見た目が大きく変わりました。これは長らく大根を店頭などで見てきていればわかることで、初めから今の主流の青首大根しか見ていないという人には理解しにくいことかもしれません。

青首大根が登場したのは1974年のことで、タキイ種苗によって甘くて柔らかくて形が一定、さらに病気に強いというF1種(一代雑種)として誕生しました。

青首大根の名称は、根の上の部分(葉がある方)の胚軸が薄緑色になることから名付けられたもので、日本には緑色のものを青と表現する伝統があります。なぜ薄緑色になるかというと、青首大根は胚軸が成長すると地表からせり上がる特徴があり、日光を浴びた部分が薄緑色に変化します。

登場したばかりのときには、青首の部分は短かったのですが、だんだんと長くなっています。これは農家の高齢化と関係しています。

青首大根が地表からせり出すことができるのは、全体的な形状がまっすぐだからです。以前の主流であった白首大根の三浦大根、練馬大根は中央部が膨らんでいて、せり上がりにくくなっていました。

中央部が膨らんだ大根は、女性の足にたとえられることがあったのですが、今では大根足といえば白くて、ほっそりとした良い形にたとえられるようになっています。

まっすぐの形状であって、さらに地表に出ている部分が長くなれば、それだけ抜きやすくなります。これが農家の高齢化に関係している部分ですが、流通面でも青首大根は優位となりました。

太さが同じなので、一定の長さになったときに収穫することで、一定の箱に入れて効率よく運ぶことができます。それ以前は太さ、長さが違っていて、箱に入れて流通させることが難しかったので、価格が安定しない野菜(根菜)でした。

この話は次回(食の不都合な真実15)に続きます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕