災害時や鳥インフルエンザの感染時に鶏舎の内部がテレビ画面に映し出されることがあります。そのときに注目してもらいたいのは、窓の有無とケージの状態です。窓がないのは、電灯の点灯と消灯を繰り返すことで鶏舎の中を20時間で1日になるようにした証拠といえます。
採卵鶏は生後6か月目当たりから1年半ほどの間に、1羽あたり450個の卵を産み続けています。電灯の点灯と消灯で1日を20時間にしても同じだけの卵しか産まないなら、そのような手間のかかることをする必要はありません。
早く卵を産むようにさせても産み続けられる期間は大きくは変わらないので、1羽あたりの生産効率は高まることになります。しかし、限界が近づくにつれて、黄身に栄養が入りにくくなり、黄身の色が薄くなってくることは以前からわかっていました。
そのために黄身の色を保つためにトウモロコシなどの飼料に赤いパプリカなどを加えて黄身の色を維持するという方法が使われていました。天然の色素を多く加えると黄身が赤色に近づいて、栄養豊富という印象を与えることもできました。
黄身の色が濃い(赤みがかっている)のは放し飼いされている地鶏の卵の特徴とされていて、高く販売されていたことから、これの応用(悪用?)として、始められたのが前回(食の不都合な真実17)触れた卵黄着色料です。
鶏卵の色素は、餌として食べた食品の色の影響を受けていて、黄身が黄色い色をしているのはトウモロコシなどの飼料に含まれているカロチノイド系の天然色素が、鶏の体内を通って鶏卵の黄身に移ったものです。
飼料を代える(米を食べさせる)ことで白い黄身(黄身と呼んでよいのか)にすることもできます。それとは逆に濃い色素のものを使うことで、黄身の色を赤くすることも可能です。
そのときに使われるのは合成着色料で、これは天然の卵黄着色料と区別するために、卵黄着色剤と呼ぶようにしています。
気になる合成着色料ですが、カンタキサンチンという石油から作られた化学合成物質です。この化学合成着色料は鶏以外には、鮭や甲殻類のエサとしても使用することが許可されています。厚生労働省による食品健康影響評価では安全性に問題はないと報告されています。
しかし、化学物質は複数のものが重なると身体への影響が高まることが懸念されることから、使用しないに越したことはないのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






