食の不都合な真実2 業界内だけの話

臨床栄養の世界で広報活動をしていたことから厚生労働省、農林水産省や農協が取材先であったこともあって、他の人よりも詳しい情報を得る機会がありました。

中でも当時の全国農業協同組合中央会(現在のJA全中)の広報部長が、知人(子どものときに住んでいた家の隣のお兄ちゃん)であったことから、食品に関わる膨大な情報をもらうことができて、多くの関係者も紹介してもらいました。

その情報の中には、「業界の人には常識的なことであっても、それは業界内だけのこと」「一般には知られてはいけないこと」があまりに多くて、情報が入ってくれば入ってくるほど、それを伝えられないことが精神的なプレッシャーになっていきました。

かといって、このことを伝えるべき人に情報として発信することには、私自身の抵抗感がありました。というのは、ゴーストライターの立場であっても、1981年から大手出版社で書く機会を与えられていて、それを失うことになるかもしれないという不安があったからです。

そのゴーストライターとしての仕事は1995年の後半に150冊目を書き上げて、これを最後の仕事にするつもりだったのですが、情報発信をしたいという気持ちが高まってきたのは、その1年ほど前のことでした。

1995年の11月にはWindows95が発売されて、誰もが情報発信ができる時代の先駆けになりましたが、その1年前の1994年は、まだ個人が広く情報発信をするというのは想像がつきにくいことでした。

そこで知人の弱小出版社に交渉をして、『安全な食べもの事典』をグループ名(安全食生活研究会)として発行させてもらいました。

今から30年も前のことなので、情報が大きく変わっていると思われがちですが、法規制が変わったくらいで、安全性の実態はほとんど変わっていません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕