食の不都合な真実7 種子の安定供給の行方

日本の種苗会社が海外で種子を栽培することはメリットが大きいから、国内で栽培される野菜の90%が海外からの輸入になっているわけですが、現在の円ドルのレートを見ると、これまでの常識が継続するのか判断がつきにくくなっています。

日本の種苗会社が海外で栽培した種子を日本に輸出して、それを国内で受け入れているといっても、円安が続くと、種子の価格が高くなり、そのために野菜の価格も高くなるということが、これからも続くことになります。

気象などの条件によって野菜の出荷量が多くなれば安くなる、出荷量が少なくなれば高くなるという、これまで当たり前とされてきた農業生産物の常識が通じない時代も、すぐそこまで迫ってきています。

日本の種苗会社は海外の生産地から、種子を他の国に輸出もしていて、その動きに拍車がかかっています。これは世界の気候変動が大きな理由で、気候変動に左右されにくい品種は世界が求めているものです。

世界に広まっていったら、日本に回ってくる種子が少なくなることは考えたくはないのですが、絶対にないとは言えないのが現状です。

また、日本の種苗会社の種子を使って、海外で栽培した野菜が安定して安く作られるようになると、生もしくは生の状態に近い野菜製品を日本に輸出している国からは、以前よりも低価格で入ってくるようになることが期待されます。

野菜を原材料にした加工食品も、優れた種子を使うことによって大量に、安定して、安く作ることができるようになることから、価格面では国内産、国内加工品は不利になってきます。

これは消費者にとってはメリットがあることであっても、食料の安全保障という面ではデメリットも出てきます。こういった問題点も、海外での野菜の種子の栽培は抱えているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕