食の不都合な真実9 品種改良による栄養低下(トマト2)

おいしいトマトを品種改良によって作り出した一方で、栄養低下が起こるようになったのは、桃太郎トマトに端を発しています。

2年間の開発期間をかけてタキイ種苗から初代品種の桃太郎トマトが発売されたのは1985年のことです。

それ以前のトマトといえば、半分が赤くて、半分が青いというものが店頭に普通に並んでいました。その青い半分はヘタの側となります。

トマトは成長途中では全体が青くて、お尻(花落ち)から徐々に色づいていきます。そして、熟すに従ってヘタに近い部分が赤くなっていけば完熟とされる状態になります。

青いと表現されても実際には緑色ですが、緑色が残っているのは未熟でクロロフィル(葉緑素)が一部分解されずに残っている状態です。これでは栄養素が不足しているのは普通に想像がつくところです。

半分が青いものが店頭に並んでいたのは、一つには傷みやすい品種で、これを早く店頭に届けるまでに時間がかかるという流通の問題がありました。半分が青いものが店頭に並ぶことで、そこから日数が減ることで徐々に赤くなっていくということで、店に運ばれてきたばかりのときには熟してはいなかったことが、そのような状態を記憶している理由となっています。

では、桃太郎トマトは傷みにくい品種であったのかというと、初期品種は以前と大きくは変わっていませんでした。半分が赤くて半分が青い状態と同じであっても、全体がピンク色で甘いというのが桃太郎トマトの特徴で、熟していなくても熟しているように見えることからヒットしました。

その桃太郎トマトのブランドは「甘熟」で、甘熟も完熟も「かんじゅく」と読まれることから、勘違いをさせるような命名が賛否両論で話題になったのは、今では忘れ去れているところです。

トマトの栄養低下については次回(食の不都合な真実10)に続きます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕