「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中からn–6系脂肪酸の「生活習慣病の発症予防」を紹介します。
〔生活習慣病の発症予防〕
コホート研究をまとめたメタ・アナリシスで、リノール酸摂取が肝動脈疾患を予防する可能性が示唆されています。
また、コホート研究をまとめた別のメタ・アナリシスでは、リノール酸摂取と総死亡率、循環器疾患死亡率が負の関連が示されています。
一方で、n–6系脂肪酸摂取と循環器疾患予防との関連を検討した介入試験をまとめたメタ・アナリシスでは、両者の間に意味のある関連を認めていません。
一方、飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸(現実的にn–3系脂肪酸よりもn–6系脂肪酸が大部分を占める)に置き換えた場合の冠動脈疾患発症率への影響をコホート研究で検討した結果を統合したメタ・アナリシスでは、発症率の有意な減少を報告しています。
さらに、2年以上の介入研究を統合したメタ・アナリシスで、飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に置き換えた場合、循環器疾患発症率の優位な減少が観察されています。
これらは全体として、n–6系脂肪酸が冠動脈疾患の予防に役立つ可能性を示唆しているものの、これらの研究報告に基づいて目標量を算定するのは難しいと考えられます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕