食事摂取基準105 n–3系脂肪酸4

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中からn–3系脂肪酸の「目安量の策定」の後半を紹介します。

〔目安量の策定〕
*妊婦・授乳婦(目安量)
アラキドン酸やDHAは、神経組織の重要な構成脂質です。DHAは特に神経シナプスや網膜の光受容体に多く存在します。妊娠中は、胎児のこれらの器官生成のため、より多くのn–3系脂肪酸の摂取が必要と考えられます。

しかし、平成30年・令和元年の国民健康・栄養調査では調査対象となった妊婦の数が極めて限られることから、妊娠可能年齢に該当する妊娠・授乳をしていない女性におけるn–3系脂肪酸摂取量の中央値を用いることとしました。

中央値は1.61g/日です。このため、前後の年齢区分における値を参考とした平滑化を考慮して、目安量は1.7g/日としました。

授乳婦は、日本人の平均的な母乳脂質成分を持つ母乳を分泌することが期待されます。しかし、平成30年・令和元年の国民健康・栄養調査では調査対象となった授乳婦の数が極めて限られることから、妊婦と同様に妊娠可能年齢に該当する妊娠・授乳をしていない女性におけるn–3系脂肪酸摂取量の中央値を用いることとしました。

この摂取量(中央値)を用いて、前後の年齢区分における値を参考とした平滑化を考慮して、目安量は1.7g/日としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕