食事摂取基準106 n–3系脂肪酸5

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中からn–3系脂肪酸の「生活習慣病との関連」を紹介します。

〔生活習慣病との関連〕
n–3系脂肪酸摂取量、特にEPAとDHAの摂取が冠動脈疾患の予防に有効であることを示しました。観察疫学研究が多数存在して、それらのメタ・アナリシスもほぼこの考えを支持しています。

しかしながら、EPA、DHA、DPAを長鎖n–3系脂肪酸として類似の目的で行われた介入研究の結果をまとめたメタ・アナリシスはこの考えを支持せず、予防効果があるとは言えないとしています。

α–リノレン酸と総死亡率、循環器疾患死亡率、冠動脈疾患死亡率との関連を調べたコホート研究のメタ・アナリシスではいずれにも負の関連を認めていますが、介入試験のメタ・アナリシスでは有意な関連は認められていません。

コホート研究のメタ・アナリシスでは、n–3系脂肪酸摂取と認知機能低下リスク低下の有意な関連を観察しています。

一方で、治療効果についてまとめたメタ・アナリシスでは治療効果あるとは言えないと報告しています。

糖尿病の発症率との関連を検討したコホート研究をまとめたメタ・アナリシスでは、n–3系脂肪酸摂取量、特にEPAとDHAの摂取が糖尿病の発症を増加させる可能性を示唆していますが、アジア人の研究のみに限ると負の関連を認めていて、一貫していません。

また、介入研究のメタ・アナリシスでは、長鎖n–3系脂肪酸の摂取と2型糖尿病の有意な関連は認められていません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕