食事摂取基準124 炭水化物7

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から指標設定の基本的な考え方の「糖類」の後半を紹介します。

〔糖類〕
日本食品標準成分表における糖類の欠損値を補完して、total sugar以外にadded sugarやfree sugarの成分値も追加した上で日本人における糖類摂取量を調べた研究は存在しています。

例えば、成人における糖類の摂取量の平均値は、男性で総エネルギー摂取量の10.7%/6.1%(total/ added sugar)、女性で13.6%/7.4%、男児(8〜14歳)で12.3%/5.8%、女児(同)で12.8%/6.0%と報告されています。

しかし、報告数は少なく、日本人における糖類の摂取実態が十分に明らかにされているとは言い難いことです。

このように、現在の日本ではadded sugarとfree sugarの摂取量を容易に推定することができず、added sugarとfree sugarの摂取量に関する指標を定めることは困難です。

また、報告されている日本人のadded sugarあるいはfree sugarの摂取量の平均とは低く、過半数の日本人では糖類摂取量が他国で推奨されている値よりも低い可能性があります。

よって、指標を定める意義や指標の設定方法は慎重に検討する必要があり、今回は糖類に対する目標量の設定は見送ることとされました。

なお、total sugarに対する目標量を定めることも考えられますが、研究数が少ないことと基準の国際的整合性の観点から、この方法も選択されていません。

一方で、一部に糖類摂取量の非常に多い日本人も存在すること、free sugar摂取量が増えることでビタミン・ミネラル類の摂取量が減少する減少(nutrition dilution)が日本人でも観察されることが報告されています。糖類の摂取実態と、その変化には注意を払う必要があります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕