食事摂取基準145 ビタミンA7

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から脂溶性ビタミンのビタミンAの「推定平均必要量、推奨量の策定方法」の続きを紹介します。

〔推定平均必要量、推奨量の策定方法〕
*小児(推定平均必要量、推奨量)
健康な小児で推定平均必要量について用いることができる研究報告は見当たりません。

仮に単純に推定平均必要量の参照値である9.3μgRAE/kg 体重/日を体重当たりの式で外挿すると、1〜5歳の小児の推定平均必要量は150〜200μgRAE/日と見積もられることになります。

しかし、この摂取レベルでは、血漿レチノール濃度が20μg/100ml以下の小児がみられ、角膜乾燥症の発症リスクが上昇することが発展途上国では報告されています。

このことから、1〜5歳の小児の場合に200μgRAE/日以上としなければなりません。

そこで、男女別に18〜29歳の成人の推定平均必要量を基にして、それぞれ成長因子を考慮して、体表面積の比を用いて外挿して、推定平均必要量を算出しました。

ただし、5歳未満の小児では体重当たりの肝重量を42g/kg体重として小児期の年齢階級別に推定平均必要量を算出しました。

以上により、1〜5歳の体重1kg当たり1日のビタミンA体外排泄量(μg/kg 体重/日)は、「体内ビタミンA最小蓄積量(20μg/g×42g/kg×10/9)×ビタミンA体外排泄処理率(2/100)=18.7μg/kg 体重/日」となります。

したがって、1〜5歳の推定平均必要量は、「18.7μg/kg 体重/日×参照体重×(1+成長因子)」の式で求められます。

推奨量は、小児についても個人間の変動係数を20%と見積もり、推定平均必要量に推奨量算定係数1.4を乗じた値としました。

なお、算定値が前の年齢区分よりも低下する場合には、前年齢区分の数値と同値としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕