食事摂取基準146 ビタミンA8

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から脂溶性ビタミンのビタミンAの「推定平均必要量、推奨量の策定方法」の続きを紹介します。

〔推定平均必要量、推奨量の策定方法〕
*妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
ビタミンAは胎児の発達にとって必須の因子であるものの、体内で合成できず、胎盤を経由して母体から胎児に供給されます。

したがって、妊婦のビタミンA必要量を考えるためには、胎児へのビタミンAの移行蓄積量を付加しなければなりません。

37〜40週の胎児では、肝臓のビタミンA蓄積量は1800μg程度であるので、この時期の体内ビタミンA貯蔵量を肝臓蓄積量の2倍として、3600μgのビタミンAが妊娠期間中に胎児に蓄積されます。

母親のビタミンAの吸収率を70%と仮定して、最後の3か月で、この量のほとんどが蓄積されます。

したがって、初期および中期における付加量を0(ゼロ)として、後期における推定平均必要量の付加量は55.1μgRAE/日を丸め処理を行った60μgRAE/日としました。

後期における推奨量の付加量は個人間の変動係数を20%と見積もり、推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数1.4を乗じると77.1μgRAE/日となるため、丸め処理を行って80μgRAE/日としました。

*授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
母乳中に分泌される量(320μgRAE/日)を付加することとして、丸め処理を行って300μgRAE/日を推定平均必要量の付加量としました。

推奨量の付加量は、個人間の変動係数を20%と見積もり、推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数1.4を乗じると449μgRAE/日となるため、丸め処理を行って450μgRAE/日としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕