「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から脂溶性ビタミンのビタミンAの「目安量の策定方法」を紹介します。
〔目安量の策定方法〕
*乳児(目安量)
日本人の母乳中のレチノール濃度は、液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)法による精密な法則において、分娩後0〜10日で、1026±398μgRAE/L、11〜30日で418±138μgRAE/L、31〜90日で384±145μgRAE/L、91〜180日で359±219μgRAE/L、180〜270日で267±117μgRAE/Lとなっています。
また、母乳中のβ−カロテン濃度は初乳では高く(分娩後0〜10日目で0.35〜0.70μmol/L(188〜376μg/L))、分娩後約3か月では0.062μmol/L(33μg/L)まで低下していました。
母乳中のビタミンA濃度(初乳を含めた分娩後6か月間の母乳の平均値411μgRAE/L)に基準哺乳量(0.76L/日)を乗じると、母乳栄養児のビタミンA摂取量は320μgRAE/日となるため、300μgRAE/日を0〜5か月児の目安量としました。
6〜11か月児については、0〜5か月児の目安量を体重比の0.75乗で外挿すると、男児が385μgRAE/日、女児が380μgRAE/日となるため、400μgRAE/日を目安量としました。
なお、母乳中のプロビタミンAカロテノイド濃度は、乳児にどのように利用されるか解析されていないので、レチノール活性当量の計算には加えていません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






