「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から脂溶性ビタミンのビタミンDの欠乏回避の「目安量の策定方法」の続きを紹介します。
〔目安量の策定方法〕
*成人(目安量)の続き
血中25−ヒドロキシビタミンD濃度が20ng/mLを維持できるビタミンD摂取量について、アメリカ・カナダの食事摂取基準では、血中25−ヒドロキシビタミンD濃度に対する紫外線、すなわち日光曝露の関与の割合は算定が不可能、かつ種々の要因に影響されることから、日光曝露のほとんどない条件下でのビタミンD摂取と血清25−ヒドロキシビタミンD濃度の関係に基づいて、ビタミンDの推定平均必要量を算定しています。
しかし、我が国においては、紫外線の皮膚でのビタミンD産生は実際にあることから、日光曝露がない条件下の摂取量を参照することは必ずしも実態にそぐいません。
一方、北欧諸国の食事摂取基準では、夏季(晩秋から初秋)の屋外活動に伴うビタミンDの皮膚での産生が体内のビタミンD量にある程度寄与するという前提に基づいて、摂取すべき値が算定されています。
実際に、季節による血中25−ヒドロキシビタミンD濃度の違いは明らかであり、紫外線による皮膚でのビタミンD産生は血中25−ヒドロキシビタミンD濃度に一定の影響力を示すことは確かであるため、この見解には一定の妥当性があるものと考えられます。
したがって、日本人の食事摂取基準2025年版では、一定量の日光曝露を考慮した北欧諸国の食事摂取基準を参考に目安量を算定することとしました。
しかしながら、そこで参照されている疫学研究の多くは、日本よりも高緯度の地域で行われ、また、対象者も白色人種が多いため、それらをそのまま参照するには注意が必要となります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






