「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から脂溶性ビタミンのビタミンEの基本的事項の「消化、吸収、代謝」を紹介します。
摂取されたビタミンE同族体は、胆汁酸などによってミセル化された後、腸管からリンパ管を経由して吸収されます。
ビタミンEの吸収率は、ある報告では51〜86%と推定されましたが、21%あるいは29%という報告もあり、現在ところビタミンEの人における正確な吸収率は不明です。
吸収されたビタミンE同族体はキロミクロンに取り込まれ、リポプロテインリパーゼによってキロミクロンレムナントに変換された後に、肝臓に取り込まれます。
肝臓では、ビタミンE同族体のうちα–トコフェロールが優先的にα–トコフェロール輸送たんぱく質に結合して、他の同族体は肝細胞内で代謝されます。
肝細胞内でα–トコフェロール輸送たんぱく質によって輸送されたα–トコフェロールは、VLDL(very low density lipoprotein)に取り込まれ、再度、血液中に移行します。
また、ビタミンEの体内の主要な代謝経路は主にシトクロムP-450ファミリーのCYP4F2による酵素的な経路です。
この経路では、クロマン環を保持したままフィチル側鎖が酸化されて短縮が連続的に起こり、カルボキシエチルヒドロキシクロマン(CEHC)へと代謝されます。これは主に肝臓で行われています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






