食事摂取基準169 ビタミンE4

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から脂溶性ビタミンのビタミンEの欠乏の回避の「必要量を決めるために考慮すべき事項」を紹介します。

〔必要量を決めるために考慮すべき事項〕
ビタミンEの欠乏によって、赤血球の脆弱化とニューロン(特に末梢軸索や脊髄後角ニューロン)の変性が起こるため、欠乏症としては溶血性貧血と神経脱落症状があげられます。

血中α–トコフェロール濃度が12μmol/L以下で溶血反応のリスクが高まるとされています。しかし、α–トコフェロール摂取量と溶血反応の用量反応性は不明です。

ヒトを対象とした研究では、ビタミンEの生体指標として、血中α–トコフェロール濃度が、しばしば用いられています。

しかし、血中α–トコフェロール濃度は、食事からのα–トコフェロール濃度を必ずしも反映せず、それらの相関性は低いことが示唆されています。

また、血中α–トコフェロール濃度は、血中コレステロールやトリグリセリド濃度の影響を受けるため、これらの濃度で調整を行う必要があるものの、調整後の明確な基準値はまだ存在しません。

α–トコフェロールの代謝物であり、尿中に排泄されるα–CEHCも有用視されていますが、食事摂取基準で用いるだけの報告は蓄積されていません。

以上より、現時点において信頼性が高く、かつ十分な報告が蓄積されている生体指標は存在しないと判断されました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕