食事摂取基準170 ビタミンE5

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から脂溶性ビタミンのビタミンEの欠乏の回避の「目安量の策定方法」を紹介します。

〔目安量の策定方法〕
不足を示す明確な臨床症状や信頼度の高い生体指標が存在しないため、ビタミンEの必要量を正確に算定することは困難です。そこで、目安量を設定することとしました。

多価不飽和脂肪酸の摂取が制限された条件下での検討では、多価不飽和脂肪酸を細胞膜で機能させるために最低限必要なα–トコフェロール摂取量は4〜5mg/日と報告しています。

さらに、多価不飽和脂肪酸摂取量1gに対するα–トコフェロール必要量は0.43mg、0.52mgとの報告もあり、小児や、若年成人女性を対象とした研究でも、血漿ビタミンE濃度を一定量に維持するためには0.4mgの摂取で十分とされています。

なお、ドイツ・オーストリア・スイスの食事摂取基準では、リノール酸1gの摂取に対してトコフェロール当量で0.4mg、北欧諸国の食事摂取基準では、0.5mgが用いられています。

上記の報告を参考にして、成人においては最低限の必要量として4mgを確保する必要があるとして、その他関連する状況を勘案して目標量を定めました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕