「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から脂溶性ビタミンのビタミンEの欠乏の回避の「目安量の策定方法」の続きを紹介します。
*妊婦(目安量)
妊娠中には血中脂質の上昇が見られ、それとともに血中α–トコフェロール濃度も上昇します。しかしながら、妊婦でのビタミンE欠乏に関する報告は存在しません。
また、妊娠合併症を有する者では、正常妊婦よりも血清ビタミンE濃度が低いとされますが、リスクに対する十分な閾値を見いだすにはエビデンスが乏しくなっています。
また、日本人妊婦を対象とした調査でも、血中α–トコフェロール濃度とビタミンE摂取量との相関性は乏しく、摂取量の増加が血中濃度に反映しにくいことも推察されます。
以上より、妊婦での必要量を非妊婦よりも高く設定する根拠は乏しいと判断され、非妊娠時と同じく、平成30年・令和元年国民健康・栄養調査から算出された非妊婦・非妊娠時の摂取量の中央値(5.5mg/日)を参考にして、5.5mg/日を目安量としました。
*授乳婦(目安量)
母乳中のビタミンE濃度と授乳婦のビタミンE摂取量との関係が見られないという報告が複数あることから、授乳婦に特化した値を設定する必要はないとして、平成30年・令和元年国民健康・栄養調査から算出された非妊婦・非妊娠時の摂取量の調整済み中央値(5.5mg/日)を参考にして、5.5mg/日を目安量としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






