食事摂取基準185 ビタミンB₁1

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から水溶性ビタミンのビタミンB₁の基本的事項の「定義と分類」「機能」を紹介します。

〔定義と分類〕
ビタミンB₁活性をもつ化合物の総称をビタミンB₁といいます。

遊離型ビタミンB₁の化学名はチアミンです。

チアミン二リン酸(ThDP)が補酵素として機能します。

通常の食品には、ビタミンB₁はチアミンのほかに、チアミンにリン酸が結合したチアミン一リン酸(ThMP)、チアミン二リン酸(ThDP)、チアミン三リン酸(ThTP)の形態でも存在します。

いずれも消化管でチアミンに消化された後、体内に取り込まれるため、チアミンと等モルの活性を示します。

日本食品標準成分表2015年版(七訂)と日本食品標準成分表2020年版(八訂)に従い、食事摂取基準の数値をチアミン塩化物塩酸塩(チアミン塩酸塩)相当量としてしましました。

〔機能〕
ビタミンB₁はチアミン二リン酸(ThDP)の形態で、脱炭酸反応、ケトール基転移反応を触媒する酵素の補酵素として機能します。

ビタミンB₁は、グルコース代謝、クエン酸回路(TCA回路)、分枝アミノ酸代謝などに関与して、特にグルコース代謝、エネルギー産生において重要な役割を果たします。

ビタミンB₁欠乏によって、神経炎や脳組織への障害が生じます。ビタミンB₁欠乏症には、脚気とウェルニッケ-コルサコフ症候群があります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕