食事摂取基準214 ビタミンB₆1

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から水溶性ビタミンのビタミンB₆の基本的事項の「定義と分類」と「機能」を紹介します。

〔定義と分類〕
ビタミンB₆活性をもつ化合物の総称をビタミンB₆といいます。

遊離型ビタミンB₆にはピリキドシン(PN)、ピリドキサール(PL)、ピリドキサミン(PM)があり、これらのリン酸化型としてピリキドシン5-リン酸(PNP)、ピリドキサール5-リン酸(PLP)、ピリドキサミン5-リン酸(PMP)があります。

PLPとPMPが補酵素として機能します。

PNP、PLP、PMPは消化管で、それぞれPN、PL、PMにまで消化された後に、体内に取り込まれるため、これらの化合物は等モルの活性を示します。

日本食品標準成分表(七訂)と日本食品標準成分表(八訂)では、ビタミンB₆の含有量はピリキドシン(PN)相当量として示されています。

〔機能〕
ビタミンB₆は、PLPとPMPの形態で、アミノ基転移反応、脱炭酸反応、ラセミ化反応などを触媒する酵素の補酵素として機能して、特にアミノ酸代謝において重要な役割を果たします。

ビタミンB₆の欠乏によって、ペラグラ様症候群、脂漏性皮膚炎、舌炎、口角症、リンパ球減少が起こり、成人では、うつ状態、錯乱、脳波異常、痙攣発作が起こります。また、PNを大量摂取すると感覚性ニューロパシーを発症します。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕